やっぱり隅田川テラスが好き

毎日のウォーキングのついでに中央区周辺の水辺の風景を綴っていきます

ゆらぶら便で隅田川を端から端まで堪能

ゆらぶら便のパンフレットから抜粋

冬の風物詩として(少なくともぼくの中では)すっかり定着した感があるゆらぶら便。表題に「隅田川を端から端まで」と書いたが、隅田川だけでなく、荒川や東京港も堪能でき、全部乗り通すとなんと7時間弱!という、ものすごいクルーズだ。

 

上記の地図はデフォルメされている上、乗船場所しか示されていないので、「神谷」とか「小豆沢(あずさわ)」とか言われても、地元の近くの人でなければ「えっ?どこ??」となるかもしれない。ぼくも初めてこの地名をみたときは「あずきさわ」と読んでしまっていた。

 

というわけで、普通の地図に赤色でコースを書き入れてみた↓。

・・・どれだけ長距離かというのがわかると思う。そしてコースは

①両国リバーセンターから岩淵水門隅田川の起点!)経由で小豆沢まで。

②小豆沢から折り返して岩淵水門を抜け、荒川・東京港経由で両国リバーセンター

③両国リバーセンターから①と同じコースで小豆沢へ。

と、大きくは3つに分かれる。(途中で乗降できる場所もある)

 

チケットの料金体系が面白いことになっていて、①~③まで全部乗り通しても、①②だけ、あるいはの途中の葛西臨海公園とかで下船しても料金は同じなのだ。詳しくはこちら(パンフレット)を参照。

 

というわけで、同じ値段なんだったら全部乗るのがお得だろうと思い、昨年は全部乗り通しで乗船した。観光船なので暖かい室内にいて窓越しに外を眺めながら過ごすこともできるのだが、眺望が素晴らしいのはもちろん屋上デッキ。それに昨年は偶然、驚くべき博識の先輩リバーガイドのかたと乗り合わせて、道中ずっと解説をしてくれた。

 

とても楽しかったのだが、寒風の中ずっと外にいることになったため、疲労困憊。。①②で体力使い果たして、のときには室内で爆睡してしまった・・・

 

・・・という反省にもとづき、今年はシンプルに①だけ乗船(さすがに①だけだとだいぶ安い)。とはいえ、まだ2月1日。屋上デッキでずっとビデオ撮影をしていると指がちょっと麻痺してくるが、今回はふんだんにカイロも持っていったし、とても元気に下船することができた(^^)v。

 

船の紹介

運行しているのは東京水辺ライン東京都公園協会が運営している団体だ。そしてこの水辺ラインは「さくら」「あじさい」「こすもす」という3隻の観光船を保有している。「さくら」と「あじさい」は140人定員、「こすもす」は少し大型で200人定員だ。今回アサインされていたのは「こすもす」。こんな船↓(通常運行の様子)。



室内は暖かく、大きな窓からだけでなく、大型モニターで船の進行方向の景色を見ることもできる。自動販売機もあるし、とても快適ではあるのだが、ヒトはどうしても屋上デッキに出てしまう(笑)。

 

見どころは・・

川・橋・船・水鳥が好きなヒトにとっては見どころだらけなので絞るのがとてもむずかしいが、

隅田川のすべての橋をくぐる。正面からも裏からも眺められる。

隅田川の起点、岩淵水門を間近に。青水門(現行)、赤水門(旧)両方。

隅田川に現存する唯一の渡し船も見られる。見るだけ、だけど。

・野鳥の生息地が場所によって大きく変わるのが実感できる。

・白鬚橋以北の流域は滅多に観光船が行かないからか、近所の子供達が喜んで手を振ってくれる(^^)。

・一度乗船すればブログ10回分くらいのネタは軽くゲットできる(笑)。

などなど・・・

たぶん、来年も間違いなく乗ることになると思う。

 

とりあえず、「隅田川唯一現役の渡し船」の映像はこちら。

日本化薬という企業は、なぜか隅田川を挟んで足立区側と北区側両方に会社の敷地があり、近所に橋も無いため社員が社内を行き来するために渡し船を運行しているのだそうだ(なので社内利用限定)。

たくさんのカワウが渡し船ルートを自由に行き来しているのがちょっと笑える。

 

豊海橋(とよみばし) 橋シリーズその3

豊海橋というのは日本橋川の河口、隅田川との境界にある橋で、最初に架けられたのは江戸時代の中頃らしいが、現在の橋は(関東大震災の)震災復興橋として再架橋された1927年(昭和2年)生まれ。御年95歳。

 

上の写真からでもちょっと変わった形であることがわかるが、正面(いや、側面か)から見るとこんな感じ。

湊橋から撮影した豊海橋

この橋の形状は「フィレンディール」という形式で、日本で初めて豊海橋で採用されたデザイン(フィレンディールはベルギー人の人名)。戦前に架けられたフィレンディール橋としてはこの橋のほかは富山の目黒橋、秋田の川井橋の2つしか日本に残っていないらしい。

 

デザイン的にも美しいと思う人が多いようで、豊海橋をロケ地にしたドラマやCMは数多い。「ロングバケーション」「全開ガール」「マルモのおきて」「バーテンダー」「絶対零度」「絶対彼氏」などなどなど・・・

わりと最近のCMだとこんなのもあった。

確信は無いのだが、豊海橋を通る道路がこのCMのように渋滞していることなんてまず無いので、もしかしたらこれらのクルマも全部エキストラなのかもしれない。

 

赤穂浪士事件(忠臣蔵のモデル)にも登場

本所松坂町の吉良上野介屋敷(今の両国駅の近くだ)で無事に主君の敵討ちを果たした赤穂浪士一行が、主君の墓がある泉岳寺に向けて引き揚げていく際に、どうやら豊海橋を通ったらしい。

赤穂浪士事件については実に多くの人たちが実に多くのことを調べ上げていて、引き揚げルートに関しても諸説あるようなのだが、江戸時代には下の図のように永代橋が豊海橋よりも北側にあったので、「永代橋→豊海橋→・・・」という経路は至極普通なもののような気がする。

 

日本橋川から豊海橋を抜けると

上の地図を見ていただくとわかるように、江戸時代には永代橋が少し北のほうにあったことから、日本橋川(当時はこのあたりは新堀と呼ばれていたようだが)から豊海橋を抜けると、そこはもう東京湾だった。地図の左下に描かれている中央大橋なんかはもちろん当時は存在しなかった。

 

「豊かな海の橋」という名前が、今ではまったくピンと来ないが、架けられた当時はまさに「名が体を表す」という感じだったのだろう。

ただ、日本橋川から豊海橋を抜けるあたりは、リバーガイドとしてはとてもガイドしにくい場所。というのは、「一度に見える景色が多すぎる(笑)」ため。

 

右を向けば雄大永代橋の向こうに大川端リバーシティ21の美しいタワマン群が見え、左を向くと隅田川大橋や清洲橋の向こうに東京スカイツリーが目立っている。おまけに豊海橋近辺は水鳥が戯れていることも多いので、そっちのほうも気になる・・という次第。まあ、ぜいたくな悩みといえばそれまでなんだけど。

 

永代橋から眺めた豊海橋(左のほう)周辺